2018年5月25日 みなさん、お元気ですか?(井上陽水か!←古っ) もうすぐ夏バテの季節です。牛さんの夏の準備はできていますか?夏場は、気温が高くて身体のいろいろな働きが悪くなります。それぞれについて、少し理解しておくと、対策が打ちやすくなります。 たとえば、ビタミンA、D、Eのような「脂溶性ビタミン」の消耗が激しくなります。これは、暑さによるストレスで、身体の中での活性酸素や飼料の酸化に伴う過酸化脂質といった「酸化物質」の影響で破壊されてしまうためです。 また、第一胃の発酵が狂いやすく、その時発生するエンドトキシンなどの物質も、直接脂溶性ビタミンを破壊します。さらにエンドトキシンは肝臓を傷めるので、ビタミンAの貯蔵や輸送(どちらも肝臓が受け持ちます)が上手くいかなくなってしまいます。 この辺りから対策を打つには、 1, ビタミン剤を適切に投与する(僕は、同じ飼育者、同じエサ、同じ牛舎で、ビタミンの投与を導入から出荷まで100頭実施し、投与しなかった1,000頭との比較試験で、投与群の方が肉質がよかったという結果を得ています。もうすぐ発表します)。 2, 生菌剤をきちんと毎日投与する。 3, エサの時間をぶらさない。 4, パンカル系の強肝剤を与える。 5, ミスト、ファン、スプリンクラーなどの設置で環境温度を下げる。 などが有効です。 あと、夏場の第一胃異常発酵で生じる3’メチルインドールという物質は、肺の血管から水分を漏れさせて「急性肺水腫」を起こします。夏場の夕方に泡を吹いて呼吸困難になっている場合は、大抵これで、今まで治療がうまくいったことはありません。せめて、可能な限り速やかに緊急出荷してあげましょう。 ● 中国物産株式会社では、牛用飼料販売の営業員を募集しています。会社見学大歓迎です。募集内容はこちらからご確認ください。 前の記事 治療法への誤解をなくす(その2) | 次の記事 夏場の受胎率を保つ |