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戸田克樹のコラム
第182話「できることってなんだろう」

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2018年4月25日

昨日、診療所エリアは丸一日強い雨に見舞われました。加えて風も非常に強く、吹き込む雨で診療車もみずびたし。
すさまじい悪天候に「モウっ!!」っと、牛さんに負けず劣らずの吠え方をする戸田なのでした。

さて、臨床の現場では「はよきて!」「すぐ来て!」「はよこんかい!」という緊急を要するケースが多々発生します。

一秒でも早く農場に行って治療にあたりたい思いは山々です。

しかしながら、どうしても現場到着までにある程度時間を要します。
片道40分以上離れている農家さんもいますから、とくにその場所では「はやく来て!」と言われても40分は待たせてしまうこともあります。

待っている間、農家さんも非常にヤキモキすることも多いでしょう。
ただ待っているだけでなく、何かできることはないでしょうか。

たとえば、体温をはかっておくのはどうでしょう。
もし低体温だった場合、保温器を設置する、湯たんぽで温めておく、など獣医師が処置をする前に少し牛さんの状態をよくできるかもしれません。熱の有無は治療方針を考える上で基本ですし、獣医師が事前に知っておけば治療に入りやすくなります。

起き上がれなくてガスがはっているのなら、なんとか立たせておきましょう(立たせ方は松本獣医師のコラム「牛がガスで倒れている? その2」を参照してください)。
「伏せ」の姿勢にまで起こすことができれば「ゲフっ」っと、ガスがぬけてくれることもよくあります。

なかなかお産が進まないのであれば、獣医師がくるまで膣壁マッサージをしておくのはどうでしょう。農家さんのマッサージで、獣医師が着いたころには「スポン!」とでてしまっていた、なんてケースもありますよ。

産業動物の世界では獣医師不足が叫ばれて久しいです。
農家さんができる「何か」がひとつでも多くあれば、獣医師がすぐに来られない状況でも命をつなぐことができるかもしれません。また、農家さんがやってくれていた処置が獣医師の治療をさらに効果的なものにできる場合もあるかもしれませんよ~。

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