僕はこういう牛さんを見つけたら、ハルゼンなどの補液剤とパンカル注、7%重曹注、レバチオニンなどを点滴します。この際にマルチなども使用する場合がありますが、いくつか注意が必要です。まず、筋肉注射では、注射部位にオレンジ色の色素が残る場合があるということ。このため僕のところでは静脈注射をするようにしていますが、この場合、高張糖液(25%とか50%のブドウ糖など)に混ぜると、必ず倒れます!なぜかは解りませんが...。ですから、うちでは単独で注射するかレバチオニンやニューグロンに混ぜるようにしています。いまでは、ニューグロン(カルシウム剤)にポジティブリストによる出荷規制がついたのでもっぱらレバチオニンに混ぜて点滴しています。
ほかにも、出荷を延長した方がよいと考えられる場合(血液検査でズルが疑われる場合で、かつ生命の危険がないと判断された場合)はデキサメサゾン5mlと結晶ペニシリン600万単位(デキサメサゾンによる免疫抑制で細菌が増殖するのを防ぐためです)も併用しますし、出荷前の肥育牛はカルシウムが不足気味なために心臓が弱っていることも多いので、カルシウム剤なども併用した方がよい場合もあります。
予防対策としては、ビタミンA欠乏やカルシウム欠乏の牛さんがいたら、群れ全体にルーサンペレット(100g×10日間程度)や100万〜300万単位のビタミンA、ドン八ヶ岳(50g×10日間)などを添加します。食欲の不安定な牛さん、元気がない牛さん、足のむくんだ牛さんなどを見落とさないようにしましょう。
また良質の粗飼料を使うようにし、さらに第一胃の発酵が乱れている場合は(台風前後も)ゼオライトやソフトシリカの添加や生菌剤・酵母製剤を給与してあげるのも効果的です。