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静脈注射は文字通り、静脈内に薬剤を注入する処置です。静脈注射(静脈補液も含む)では、急速に、大量に薬剤を投与することができ、速効性が期待できます。また、筋肉や皮下へは投与が困難なカルシウム剤(刺激性が強い)や糖液(電解質を引き込んでしまう)などを投与する経路としても重要です。牛では投与経路として左右の頚静脈および乳静脈を用いるのが一般的です。 静脈注射や静脈補液をするためには確実に血管を捉え針を刺入しなくてはいけないため、何よりもしっかりとした牛の保定、しっかりとした静脈の駆血による血管の視認が欠かせません。静脈注射は「保定8割」とも言われるほどです。具体的には、成牛では鼻環(ない場合にはできるだけ頭絡を用いるのが望ましい)、耳の下、後頭部にロープを回し、牛の鼻梁が柵と密着するように頭部を柵にしっかりと固定します。頭部は正常な高さ、あるいはやや高めがよく、下を向いていると静脈の浮きが悪いです。また頭部を柵の間より出し、首をそらせると静脈の浮き方、牛のおとなしさ、作業の安全性がピカイチです(写真)。逆に牛が首を曲げた状態(顎と肩がよった状態)では静脈を捉える難度はぐっと高まります。さらにそれが肥育中〜後期のぷりぷりした黒い冷蔵庫みたいな雌牛となるとついに不可能の域に達するので、反対の首から刺すか、少し動いてもらって首を伸ばします。(子牛は次回) |