|
|
今回は皮下注射(以下皮下注)について紹介したいと思います。皮下注とは皮下織への薬剤注入です。皮膚は表皮と真皮より構成され、皮下織とはその皮膚の下に存在する脂肪と結合織よりなる層です。動物の皮下織は皮膚と筋肉をつなぎとめる組織ですが、皮膚はその上を柔軟に移動することができます。猫の背中がびよ〜んと伸びるのも、インドなどでよく見るゼブ種の皮膚がたる〜んと垂れているのも皮下組織があるためです。この柔軟性は動物の体のどこでも同様なわけではなく、特に筋肉と関節のダイナミックな運動が行われる部位で大きくなります。牛で言ったら特に肩甲骨周囲と脛胸部あたりです(種差も大きく、猫は特によく伸びますよね)。実はこの皮膚の伸びは皮下注にはとても魅力的です。・・・魅力については次回・・・ さて皮下注の方法は、筋注と9割一緒ですので前回を参照ください(笑) 筋注との違いは針の刺入角度です。皮下注は筋注よりも針を寝かせ、およそ20度くらいで刺入します。うまく皮下に針が刺さった状態では針先が動かせ(筋肉に刺さっているときは基本的に殆ど動かせません、無理に動かすと筋線維がズバズバ・・・)、薬液を注入するとぽっこりと皮膚が膨らみます。筋注と皮下注の効能の違いはその血中への移行速度と作用時間です。筋肉には毛細血管が豊富なため、吸収速度は筋注:皮下注=2:1といわれています。作用時間はその逆です。早く効かせたいか、長く効かせたいかということですね。投与できる薬剤の種類にも違いがあり、懸濁液、油剤は基本的に筋注します。これは皮下に投与してしまうと皮下脂肪に分布してしまう、成分の一部が血中へ移行できない、などの原因から本来の薬理効果が得られなくなってしまうためと考えられます。 |