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「シェパードで研修して(5)」

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2012年2月7日

〜 伏見先生との往診 〜

 3日目は再び伏見先生との往診です。
今回の研修では伏見先生と一番多く同行させてもらいました。その診療スタイルはとても勉強になるもので、最も刺激を受けたと言っても過言ではありません。

 海に潜って魚を銛で突くことを趣味にしている伏見先生。牛の話をしている時よりも海や魚の話の方が、会話に熱が入ります。
 その銛でついた魚をさばいて農家の方に御裾わけするそうです。すばらしい趣味です。

 そんな素敵な趣味を持つ伏見先生はとても理論的です。目の前の牛に起こっている現象を生化学的に理解しようと懸命です。これだけ書くと少し理屈っぽい獣医に見えるかもしれませんが、その自分なりに導き出した答えをいつもわかりやすく農家の方に説明している姿に感銘を受けました。自分は普段、こんなに物事を考えながら仕事をしているだろうか?経験という都合のいい理屈で物事を解釈し、片づけていないだろうか?伏見先生と回っていると、そんな自責の念にかられてしまうのでした。

 話は変わって、とある農場で鼻環がとれて鼻鏡がぱっくり割れているかわいそうな牛さんの往診がありました。そこには70過ぎたと思われるおじいさんがいて、少し怖そうなオーラを放っています。しかし、そのおじいさんが、「おまえなら何とかしてくれるから呼んだ。」と。更に伏見先生がいない時に「あいつはすごいやつだ。」と自分にこっそり教えてくれました。この信頼関係、自分にはあるかな?と少し羨ましくなってしまいました。
 褒めすぎましたかね?
(つづく)

 (有)あかばね動物クリニック 宮島吉範

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