(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
ゲストのコラム
「緊急コラム 「幸せな牛飼いを目指して(5)」 (TPP関連)」

コラム一覧に戻る

2012年1月7日

 今回は、大きく分けて4つの点について日本の畜産の現状と課題を述べてきました。①牛肉の輸入自由化の後の日本の畜産の現状。価格安定制度により存続している経営。②口蹄疫の発生により、大規模化(1か所集中化)による衛生対策の不備や大規模化への疑問。③海外に農畜産物を輸出したくても出来ない現状。④TPP問題です。
 これらの課題に対応できる方法は何も思いつきません。本当に、幸せな牛飼いができるのでしょうか?肉用牛の価格保証制度も関税がなくなれば無くなるかもしれません。TPPになれば戸別補償の額を増やすようなことを言っていますが、それって、一般の消費者から税金で賄うのですよね。 

 私は常々、日本の農畜産物は自動車メーカーのように生産コストの積み上げにより販売価格を決定していくことが必要だと考えています。
 ただ、そうは言っても全ての価格が生産コストの積み上げにより販売されたら一般人は、国産の農畜産物を購入できない可能性があります。でも、これって、TPPに参加した後の日本の農業の姿かもしれません。安いものは海外から、安全で安心なものは、国内産でお金持ちしか買えない農畜産物。でもこれってニッチ(狭義)な市場では有効かもしれませんね。
 それに、国内のあらゆる資源の活用です。耕作放棄地には雑草が生え、飽食の時代、コンビニ弁当は時間が来たら廃棄される、これらの利用も有意義ではないでしょうか。だって牛は、人間の食べられない食物を栄養にできる能力を持っているのですから。そして、市場価格ではなく生産コストの積み上げによる販売価格が幸せな牛飼いの近道かもしれません。
 それが、個人ブランドと言う形の安全で安心な外国産に負けないそして牛飼いが幸せになれる一つの道なのかもしれません。(おわり)

 辛辣コラムニスト 津田 正一郎

|