(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
ゲストのコラム
「緊急コラム 「幸せな牛飼いを目指して(3)」 (TPP関連)」

コラム一覧に戻る

2011年12月27日

 そして、日本の現状の中で最後の課題はTPP問題です。TPPの議論については、冒頭にも書いていますが、日本は交渉参加を表明したことにより、TPP参加に向けての舵を切ったと言えます。総理大臣は「TPPの交渉では日本の国益を守る」と話していましたが、国益ってなんでしょうか。外交交渉は政府の専権事項で国会などは、条約の批准の賛否を議決するところとなりますので、交渉ごとの情報が一般に公開されることは無いとは思います。先の米韓FTAでの韓国政府は、米国との交渉の中でISD条項(毒素条項)の件を最後まで隠していたとの話もあります。内容については、下記のURLに乗っていますので、参考にしてほしいのですが、特に畜産関係で怖いのはRatchet条項(ラチェット)
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L2/221220.htm
で、一度規制を緩和するとどんなことがあっても元に戻せない、BSEが米国で発生しても牛肉の輸入を中断することはできないのです。実は米国は、平成12年にBSEが発生しても、BSEの全頭検査実施をしていません。日本が要求しても。当時、米国企業が1ポンド1ドルの牛肉が日本では6ドルで販売できるため、検査しても採算がとれると企業独自でBSE検査の実施を求めたのですが米国政府は認めませんでした。今度は、TPP交渉に入る前の事前協議で輸入牛肉の規制緩和を求めてきたのです。BSE対策をほとんど取っていない米国から。この危険な状況から政府は日本人の健康を守ってほしいものです。健康を守ることも国益を守ることではないのでしょうか。(つづく)

 辛辣コラムニスト 津田 正一郎

|