4)エサ屋から見たエサ
エサというのは、必要材であって嗜好品ではありません。つまり、畜産を営む以上はどんなものであれエサは必要不可欠なものです。そして、毎日使います。だからエサは1円でも安く…全くその通りです。エサが少しでも高ければ支払金額が使用量に応じて多くなります。支払いが多いのは誰でも嫌です。しかしエサの原料とは、その原料の価値が認められるから高いのですが、そんな中で安い原料というのは、何らかの理由で使い難いものが多いと思います。使い易ければ、みんな使うので値段が上がってしまいます。腐敗が早かったり、消化率が悪かったり、消化スピードが速すぎたりと、安いものには理由があります。ただ、使い易くて、原物あたり(水分抜き)の価格が安ければそれは使うべきと思います。
たまにエサの成分の話になりますが、CPやTDNで話をされる場合があります。そんな場合は数字遊びにならないこと、つまり牛の状態や肉の状態を見ながら検討することが肝心と思います。例えばCPならばこの値は牛さんが消化できるかどうかは、全く関係なく、原料に蛋白質という物質がどの程度含まれているかでしかありません。それを牛さんが使えるかどうかは書いていません。つまりエサというのは、成分や内容も大事ですが、そのエサを使った牛さんが良い成績を上げて初めて評価できるものだと思います。仮にどんな牛に食べさせても全ての牛がA5で600㎏以上になるのであれば、今より多少(かなり?)高くても使いますよね。そんなエサがないとはわかっていても欲しいものですが…。逆に今よりも安くても成績が悪くなっては、エサを安くした分以上に牛さんで損をします。濃厚飼料を5円/㎏安くすると肥育牛1頭当たりのエサコストは約25,000円改善します。枝肉換算で500㎏であれば50円/㎏に相当します。しかし、枝肉重量が落ちたり、格付が落ちたりすれば、それ以上の損は容易に出てしまいます。エサ代を安くした分は消えてしまうどころか、今まで以上に損をしてしまいます。それではまったく意味がありません。安くて良いものがベストですが、この両立はなかなか難しいものです。エサ以外の要因も大きいですし。
エサ屋としては、その辺のところを相談し、管理の部分まで踏み込ませていただきながら、牧場が儲かって喜んでいただく事を思い仕事しているつもりです。
さて、その実現に向けてですが…
さすらいのポルコロッソ