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ゲストのコラム
「食の在り方 (第六話)」

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2011年8月30日

〜 食の危機対応(備蓄) 〜

 今回のテーマは「食の危機対応(備蓄)」。「衣食住」は私たちの生活には無くてはならないもの。読者の皆さんも3.11で多くの何かを感じられたかと思いますが、その中で「食(水)」が不足することの怖さの一端についても気付きがあったのではないでしょうか。世界の人口増加や地球温暖化による環境災害等の影響か、将来食料が不足すると言われることが多くなってきました。ただもっと正しく言えば、食料(穀物)は世界の人々が「生きて」いくのに実は足りていて、要は分配の問題で満足に食べられない人(飢餓人口)の割合が非常に高くなってきているというのが実態のようです。現状の資金力をもって世界的に大量に穀物を輸入している日本。飢餓人口の増加傾向を考えると、日本が国際的な批判を受ける日が近いのかもしれません。

 読者の方々一人一人(畜産業界)が非常時に備えた食料(飼料)確保とその消費(給餌)の仕方、そしてその代替物(国産飼料等)への移行などに対してより一層の注意を払っていく必要があります。その為の「備蓄」 と 「保存技術」は不可欠。放射性物質に汚染された食料(飼料)は言わずもがなですね。ただここで考えないといけないのは、そうした汚染食料でさえ、「飢饉(飢餓)」と言われる状況においては私たちは本能的に手に取ってしまうかもしれない、、というその鬼気迫る切迫と現実があり得るということ。飢饉下において家畜犬猫をとり尽くすと人肉まで食べた記録が残っていると言われています。普段の生活の中では、こうした事を考えたくはありませんが、「備えあれば憂い無し」、「アリとキリギリス」の寓話といった先人の教えにもあるように、間違いなく私たち(消費者)は食(水)を「備蓄」しておくべきと言えるでしょう。私の経験によれば、生産者のお宅には、山のような食料が保存(在庫)されていることが多いようです。消費者こそが、食(水)の確保(備蓄)について、非常時に備えて、日々の生活の中で確りと注意を払うと同時に、実際に食料を確保(備蓄)しておく必要がありそうです。
(つづく)

 木原 茂明

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