− 最終回 −
The Earth Cafe Project は、札幌の公益財団法人秋山記念生命科学振興財団が実施するネットワーク形成事業の助成を受け3年前から取り組みをはじめています。農場に出かけて「農」を実感するアースカフェもこのプロジェクトの一環として実施してきました。
このネットワーク形成事業というのは、あるテーマの目標に対して、これを達成するために異なる立場の関係者が集い、ひとつのテーブルについて分野横断的な議論をすることで、従来の常識を捨て、新しい価値によって社会的課題を解決していくネットワークを構築することを目的とした事業です。
私はこの事業に対し「農業」をテーマとして応募しました。農地の地力を維持増進するために堆肥等の有機物をしっかりと農地に入れるための手段づくりや動機付けを行うことを目標としています。これは生産者だけに責任を求めるのではなく、消費者もその概念を共有化しなければなりません。
農地を生消一体となって将来にわたってずっと安定的に安心して食べれるようなインフラとしていくために社会的な合意形成を目指しています。
農業はコミュニティに暮らす人間の生命を支える最も基礎的なインフラです。すなわち全ての人が関係者であり、無関心ではいられない産業なのです。でも、この業界はあまりにも閉鎖的であり、保守的で関係者が少なく、関係者間の構造が単純化されています。だから、農や食に対して何か問題があると、メディアはすぐに生産者対消費者とか、生産者対農協といった単純な対立構造をつくろうとします。
農地の生産性確保と持続可能性をしっかりと担保したうえで、企業の農業への投資や参入、既存農業の企業化などがもっと活発に行われるようになって、農業がもっと生活者にとって身近で社会的な存在になれば良いと思います。
都会に暮らしていても、いつでも「農」の存在が感じられる社会。大地の息づかいを感じられる感性をはぐくむのも農業コンサルタントである私の仕事だと思っています。
(おわり)
株式会社リープス 鈴木 善人
http://www.leaps.jp/