(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
ゲストのコラム
「農業コンサルタント奮闘記」

コラム一覧に戻る

2011年4月19日

− 第4話 −

 農業コンサルティング会社を2003年に創業しましたが、モノを売らないノウハウ稼業は苦戦しました。いや、現在進行形で今も苦戦しています。農業者に民間事業者が提供する農業コンサルティングのニーズなどほとんどないのが現状です。農業コンサルティングの分野は、大別すると経営と技術のふたつに分けられます。経営については現状で生産物の売り先は、農協や市場など、手堅いところは概ね確保されています。技術については農業改良普及所や公設の農業試験場、農協の営農指導、機械や資材屋さんの営業さんなどから無償で手に入ります。つまり現状で満足しようと思えば、特別な投資をしなくてもやっていくことができるのです。

 農協や公的研究機関の方々は農業技術や経営の「底上げ」を目指します。農業者(組合員)すべての生活と経済が向上することを目的とした活動をされています。これはとても大切なことです。農業という職業が安定的なものでないと食料供給に不安が発生します。つまり、農業を全体論として捉えているのです。農業者全体を群として管理し、個別の経営は全体(群)に寄与するように設計することで、全体の利益に結びつけるようになっています。いわゆる護送船団方式です。

 繰り返しますが、農業から生産される食料は欠くことができないものですから、全体を保護する護送船団方式は非常に有効です。大きなリスクは全体あるいは政策など外部で管理することができるのです。船団を構成する小舟(農業者)は容易に沈まないようになっています。だから、私たちは食料を安心して得られるのです。

 しかし一方で、農業はビジネスでもあります。このビジネスの概念を護送船団のどの組織(船)で持つのかによってやり方は変わります。ビジネスは競争を生みます。市場、農協、農業者などビジネスの主役が異なれば、ビジネス戦略も当然異なります。経営戦略、技術戦略などを立案し、ライバルに差をつけなければなりません。
(つづく)

株式会社リープス 鈴木 善人
http://www.leaps.jp/

|