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戸田克樹のコラム
第160話「身近な解熱鎮痛剤⑥」

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2017年11月8日

さて、デキサを使うと元気になるけど注射をやめるとまたぐったり。だからまたデキサを打とう

そんなケースがなぜ危険なのでしょうか。

炎症を火災に、デキサを消防士に、病原体を放火犯にたとえてみましょう。
火をつけて回る放火犯がいたとします。放火によって火災がおきましたが、大量の水ですぐに消火できました。しかしまた別の場所で犯人が火をつけます。「また消せばいいじゃないか」。ではまた消火しましょう。するとまた別の現場で火の手が。今度はより大きな火災です。水の量を増やして対応します。消し終わろうかというところで、また別の場所で火が放たれました。また水を。消火中なのにまた別のところで火事です。また別の場所でも。また別の場所でも起きました。次々に放火犯が火を放っています。もう間に合いません。あたりは火の海となってしまいました…。

火をつける(=炎症を起こす)原因である放火犯(=病原体)がいた場合、それを自由にさせているうちは一時的に体調がよくなっても、またすぐに症状は悪化します。しかも時間がたっていくので病原体は増殖し、体のいたるところに広がって、しまいには手がつけられない状態になってしまう可能性もあるのです。どんな病気でも、一時的に治癒したように見えてしまうというのが強力な消炎作用をもつがゆえのデキサの欠点なのです。

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