− 第2話 −
ウェアラブルロボットとは、ロボットを服のように着用することで、作業によって身体にかかる負担や窮屈な姿勢による疲労を取り除き、作業を楽に快適にするというものです。これまで、ウェアラブルロボットといえば、人にはできないことをやるイメージでした。例えば、か弱い女性が重い米俵を持ち上げるとか、怪我や病気などで歩けなくなった人を歩かせたりするようなものです。皆さんもテレビなどでご覧になったことがあるでしょう。
われわれの目指すのは、このような、人が出来ないことをできるようにするというものではなく、人が頑張ればできることを、少し楽に、体に無理がかからないように楽しくするというものです。我々はこの概念を「軽労化」と名付けています。労働負担を軽くし、疲労を軽減するという意味です。日本も超高齢化社会に突入し、高齢になっても社会参加することが望まれるようになってきます。そんな時代に役に立つものを開発したいと考えています。
最初、ロボットベンチャーの仕事は農業とは全く異なる分野と書きましたが、きっかけはやっぱり農業でした。農業コンサルのお客様に北海道のメロン農家がいて、そのお母さんとおばあちゃんが毎日、ハウスの中で足元のメロンに気を使いながら一日中、中腰姿勢で仕事されて、慢性的な腰痛に苦しんでいらっしゃいました。「来年はもう続けられない。」そんな話を聞いているときに出会ったのが、ともにベンチャーを立ち上げたロボット科学者の田中先生でした。人との出会いで思いもよらない方向に人生は変わるものです。
わたしたちは、より安く、軽く、扱いやすい装置の開発に取り組みました。そして試作したのが「スマートスーツ」です。開発したスマートスーツは中腰時の後背部の筋肉を補助するもので、スーツに仕込んだセンサーで体の曲げ具合を判断し、腰から肩に張ったゴムバンドをモータで巻きあげて上体を起こすのを補助するというものです。電池で駆動し4割ぐらいの筋肉補助効果がありました。
(つづく)
株式会社リープス 鈴木 善人
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