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おいおい・・・

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2017年10月30日

 最近では、さすがに粗飼料の品質管理も厳しくなってきました。それでも、まだまだ農場に購入する場合には、十分品質はチェックしなければなりません。

 チェック項目は、硝酸態窒素の濃度(シェパードでの基準は500ppmです。これでも2kgの粗飼料を与えると1gの硝酸態窒素を牛さんに食べさせることになり、理論的には270万単位のビタミンAを破壊してしまうことになります。)、カビ、生物農薬として使用されているエンドファイト(これは、カビの一種で、小麦の実などには入り込みませんが、麦わらなどの植物体には寄生して、食べた草食動物を殺してしまう、というものです。小麦とかを野生のウサギなどから護るためには有効ですが、その麦わらを食べた牛さんにも害を及ぼします。それどころか、こいつは「カビ」の一種なので、草地まで入り込んで他の牧草(フェスクやイタリアンなど)にも感染し、牛さんに被害を及ぼすのです。)などです。
 他にも、日本では使用禁止となっている農薬が残留しているケースもあり、その中でも「クロピラリド」という除草剤は、イネ族のような単子葉植物では除草効果はありませんが、トマトやイチゴなど多くの双子葉植物を枯らしてしまう強力な除草剤です。一応、「水溶性なので牛肉への残存は心配ない」と言うことになっていますが、牛さんの体内に残らなくても、消化管通過の際に子牛の下痢などを起こす恐れは十分にあります。もともとチモシーなどは、便が閉まる粗飼料ですが、ロットによっては軟便が増えるものもありますからね。なかなか分析が出来ない、というか1検体5万円かかるので大変です。
 粗飼料は、自分の作ったもの以外は、牛さんが喜んで食べるか、便に異常はないか、などを目安に、しっかりと自分の目で確かめてあげましょうね。

 写真はチモシーヘイに入っていた異物の中で、僕の経験上最も大きかったものです。アメリカのフォークでしょうね。まあ、ここまで大きいとかえって牛さんへの害はないかもしれませんが、フォークの重さも乾草の値段で購入しているわけですもんね。


おいおい(^_^; 時効だろうけど...

 また、特に日本の畜産製品の安全性を保つためには、野生動物の死体なども気をつけましょうね。牛さんには動物性飼料は与えてはならないのです。

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