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戸田克樹のコラム
第158話「身近な解熱鎮痛剤④」

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2017年10月25日

稲刈りがいたるところで始まり、そして終わっていきます。
収穫の秋ですね。牛飼いと兼業でされている農家さんも多いので、皆さん忙しそうです。休みもしっかりととられてください。m (_ _) m

牛飼いさんたちにとって身近な解熱鎮痛剤といえば、やはり「デキサメサゾン」ではないでしょうか。よく使われるので「デキサ」と呼ばれる方も多いです。やっと薬の名前がでてきました(笑)

デキサメサゾンは「ステロイド剤」とも言われます。ステロイドとは体内で合成されるホルモン物質をさすここもあるのですが、薬箱に入っているデキサの取り扱い説明書を改めて見てみてください。「合成副腎皮質ホルモン剤」と書いてあります。

つまり、この薬は人工的につくられたホルモン剤ということになります。
なんとも不思議な感じがしますね・・・。

では、なぜ熱が上がった牛さんやアレルギー反応などでまぶたなどが腫れた牛さんにデキサを使うと症状は改善するのでしょうか。
それはデキサがここに働いてくれるからなのです。

細胞膜の成分であるリン脂質に作用する酵素「ホスホリパーセA2」のはたらきを止めてしまう。つまり炎症につながるおおもとの物質「アラキドン酸」そのものが作られないようにしてくれるわけです。

そうなると・・・

というわけで熱はさがるし、痛みはとれるし、さっきまでしんどそうにしていた牛さんもみるみるうちに元気を取り戻してくれる!というわけなのです。
まさに夢の薬♪
…のはずなのですが………。

つづく

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