〜 育つ時のタンパクを考える 〜
肥育のお話しから離れて、育成牛について書かせて頂きます。「氏より育ち」ということわざを、皆さんは知っていますよね。この意味は「先祖代々の家柄や血筋よりも、育っていくうえでどのように教育を受けたり、自分自身の努力次第で人間形成のあり方が違ってくる。従って育っていく環境が大切である」ということです。
和牛のばあいは血統がずいぶん重要視されますが、子牛の段階でどのように育てられたかで、肥育成績に大きな差が出ることを覚えておかなければなりません。
理想の子牛は哺育中の栄養が充足し骨格の基礎が出来ており、しかもスターターでしっかりルーメンの絨毛が形成され、離乳後は良質で栄養価の高い粗飼料と適度な濃厚飼料で、体高があり腹容の充実した育成牛に育っていることです。
ところで戦後日本人の体格が良くなった理由をご存じですか。それは乳製品や肉類を食べる量が増加したことにより、タンパク質の摂取量が増えたからです。タンパク質は体格を向上させるのに大きな役割をはたしました。牛さんにとっても同様です。発育が旺盛な子牛の時期は、骨格や筋肉の形成に必要なタンパク質の要求量が多いです。しかし、和牛を飼育する農家さんが持っている乾草など粗飼料のタンパクレベルは意外と低いものが多いです。(私はクローバーなどがたくさん含まれる乾草を見たことがありません)
そこでエサとしてタンパク質を補給してあげなければいけません。CP(粗タンパク)の高い育成用の配合飼料や大豆粕、加熱大豆のようなバイパスタンパク、あるいはルーサンペレットなどの補充が、子牛さんにとっては必要となります。でも、こういったエサの使用に当たっては最寄りの指導員と相談しながら、用法用量を守ってご使用ください。
(つづく)
十勝農業改良普及センター 十勝北部支所
出雲 将之