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松本大策のコラム
牛さんの蹄の病気 その1

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2017年10月20日

 みなさん、牛さんに蹴られたことありますか?僕は近づきすぎるためか、何度も蹴られたことがあります。新人の頃は、去勢肥育牛の陰毛と包皮内部の尿石を除去していて、何度も蹴られつつ避けていたのですが、胸ポケットの体温計を落としてしまい、それを拾おうとした途端に顔の真ん中を蹴られて病院に運ばれたこともあります。

 いや、本題は「牛さんの蹴りは痛いね」ではなく、牛さんの蹄はあんなに丈夫なのにやっぱ病気するんだ、ということです。
 ルーメンアシドーシスから誘発される「食餌性蹄葉炎」は有名ですが、今回は左右の蹄の間の病気のお話しです。あ、ただひとつだけ、餌が原因で起こる蹄の病気について補足させてください。繁殖母牛などは、たった1.5kg/日程度しか配合飼料を与えられないのですが、それでもルーメンアシドーシスは起こりますし、食餌性蹄葉炎以外にも、白線裂や蹄底腐乱なども増えてきます。実は餌が原因でルーメンアシドーシスを起こすのは、時間的には短くても、その際エンドトキシン(第一以内の悪玉菌が死ぬときに放出する毒素)もスパイク的に血中濃度が上昇し、様々な障害を起こすのです。
 みなさんの農場で、繁殖成績が低下してきて、しかも足の痛い牛さんが増えてきた、なんていうことはありませんか?そういうときは餌を変えていないか、製造元が設計変更していないか?等を確かめてください。繁殖成績も足の痛い牛さんも一挙に解決することが多いですよ。

 あ、なんか、指間の病気に触れるスペースがなくなったので、次回に持ち越します。ネタがなかったからちょうどいいや(笑)。

つづく

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