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2017年10月6日

 子牛も少し値を下げましたが、まだまだ肥育の現状から言うと厳しいですね。しっかり育てて、お肉屋さんに高く買ってもらいましょう!

 ところで、子牛セリ市場から買ってきた子牛には、セリ用のオモテ(頭絡)が付けてあります。僕は、導入後1ヶ月間は、熱を出したり下痢をしたり、いろいろと子牛を捕まえて治療する機会も多いので、なるべく頭絡は付けておいてもらっています。もしくは鼻環を装着して、自分ちのオモテに付け替えてもかまいません。

 「あれっ、この子牛はなんだか元気がないな」とか「餌から離れるのが早かったぞ」なんていうときに、頭絡があればすぐに子牛を捕まえて、熱を測ったり獣医さんに診てもらったりできます。しかし、子牛になにも付けていないと、捕まえるのが大変だし、捕まえた後に保定するのも大変なので、ついつい「少し様子を見よう」という怠け心が働きやすいのです。
 子牛に何か処置をするまでに必要な時間を「アクセスタイム」と呼んでいますが、この時間が短いほど子牛の処置は速やかにできます。こういう小さな差が、子牛の発育改善にも大きく関係してくるのです。

 とはいうものの、子牛を導入してからの数ヶ月というのは、子牛にとってぐんぐん発育する期間でもあります。発育がよい牛さんほど、オモテがきつくないか、よく観察してくださいね。そうしないと、あっという間に子牛の鼻や後頭部にオモテが食い込んで傷になってしまいます(写真1)。


写真1

こういう傷を「縛創(ばくそうと読みます)」といいます。こんな傷がついたら子牛だって痛くてストレスでしょうからね。

 僕の理想は、毎日子牛のマスに入ってゆっくりとした動作で子牛に触れてなでてあげることです。そうやって信頼を勝ち得たら、その後の肥育も楽ですよ。ちなみに種の付かない受卵牛も、毎日背中を掻いてあげて、移植の時にバタバタしなくなると受胎率が劇的に改善しますよ。

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