最近は、配合飼料が高騰して安値であった時よりトン当たり1万円程度高止まりの状態になっています。そこで、国も力を入れている、食品残さ物の飼料化が進められています。食品残さ物には、腐り易いものがあるので、それを利用するためには、乾燥物にするか、空気触れさせないようにして保存性を高める嫌気状態させるためにビニールなどで密封する方法が行われています。いわゆるサイレージにするということです。サイレージ自体はもともと漬物作りと同じですから発酵産物です。
ところがこの発酵させるということに注意する必要があります。北海道などでは、牧草であるチモシーを主体とした草地が多く特に気温が低い地域ではこの牧草サイレージが主体になっています。また最近は大型機械によるコントラクター作業により1日に20〜30ha以上のサイレージ作業が可能になっています。ところが、作業が速いのは良いのですがあまり水分を落とさないまま高水分のサイレージが多くなっています。そうすると、サイレージ発酵してくるとタンパク質の中の溶解性のタンパク質の割合が増えてきてしまいます。粗飼料分析するとタンパク質はそれほど高くないのに、以外と牛が軟便になりやすくなります。そうすると「松本理論」(←勝手につけましたすみません)によるルーメン内でのアンモニアの処理が出来なくなると体内のpHが高まることになり繁殖母牛では種付けが悪くなったり、肥育牛では肉色に影響が出たりとあまりいいことが起こりません。
しかし、多くの発酵飼料は、混合している前の原料の成分値を使っているので発酵させた後は異なります。特に、食品残さ物を利用して製造されたもので、配合飼料原料の大豆粕などが混合されたものはよりタンパク質が変化しています。ですからタンパク質の含有量は粗タンパク質(CP)だけでなくタンパク質のルーメンでの分解率(ルーメンでアンモニアになる割合)に違いがありますので使う前に販売会社に確認したらよいでしょう。
(著:東京都 村田六蔵)