〜 添加物、雑感 〜
ただいま妊娠9か月の嫁舞子、妊娠中の体の変化のなかでも、食の嗜好の変化の激しさは我ながら驚きでした。一番大きかったのは、妊娠初期〜つわりの時期に、突然人工的な調味料や添加物を受け付けなくなったこと。カロリーオフのドリンク、シュガーレスのキャンディー、インスタント出汁の素、お惣菜、レトルト食品…、今まで普通に口にしていたものが、突然喉を通らなくなったのです。私はそんなに食にこだわりがあるほうでも、味にうるさいほうでもなかったので、これには自分が一番驚きました。赤ちゃんの体を作る大切な時期だから、母体の反応として人工添加物系を忌避しちゃうのかしら?なんて思っていたのですが、やたらジャンクなものが食べたくなる人もいるそうなので、そんな理屈でもないようですね。
ともあれ、この時すごく困ったのは、キッチンで素材から料理ができるほど元気じゃないのに、お惣菜や半出来の加工品を利用できない不便でした。安価で手軽になんでも買えるという現代の食の利便性は、添加物の働きで成り立っているのだなぁとしみじみ実感したのです。
添加物——、改めて考えるまでもなく、消費者にとっては入っていないほうが嬉しいものです。でも、加工・調理してすぐ食べるわけではない食品には、なんらかの品質保持対策をしないといけないのは当たり前のこと。油臭くならないように酸化防止剤、ぱさぱさにならないように保湿剤、分離しないように安定剤…、それらが入っていないと時間が経てば食べられたものじゃないだろうし、なにより衛生的な問題が出てくるでしょう。どの食品も、口にしてもよい添加物を法の範囲内で使用しているはずですが、法的ではOKでも、有識者の間では安全性に疑問符がついている成分もあるし、様々な添加物を複合で口にした場合の有害性については未知数というのが現状のようです。こうして「安価で便利な現代の食」と「添加物」とを天秤にかけて総合的に見渡すと、「食品の安心・安全」の中に含まれる「衛生面での安全」と「食品としての安全」は決してイコールではなく、逆に両立しにくいものだと気づかされます。
今の時代で生活していく以上、添加物を頑なに避けて暮らすのは現実的ではないし、またある面では機能的で有用な添加物をむやみに嫌うのも違うのかなという気がします。私たちにできることは、できるときは手作りで、忙しいときは加工品なども上手に利用しつつ、あまり特定の食品ばかりに偏らないようにするのがいいのかなぁなんてぼんやりと思っているこの頃です。
(つづく)
著:黒沢牧場 上芝舞子