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笹崎直哉のコラム
アブセスの治療に苦戦

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2017年8月1日

 皆様お疲れ様です。何だこの気候は、、、。A、Tsu、I、、、。8月に突入し暑さに滅入ってしまっている笹崎です。長野県という雪国出身の私はこの8月を乗り越えられるかどうか、今日から試されているところです(笑)。7月も思い返してみれば、湿度も高く暑かったですねー。車の気温計では39℃と出たときがありましたよ。さらに毎日の日中診療を終えるのに精一杯の私を見て、「いよいよ、ぶっ倒れしまうのでは…」と心配してくれた事務の竹添さんは、私の仕事机の上に精一杯の熱中症対策アイテムを備えてくれました。

非常に有難いアイテムに感謝し、これから8月に挑んでいきます。皆様どうぞ応援の方をよろしくお願いします。
 
 
 さて今回はアブセスの治療で苦戦した牛さんについて紹介していきます。アブセスとは膿が溜まっている状態、部分のことを意味するのですが、今回は私の過去の診療で一番アブセスの範囲が広い症例でした。その牛さんは、、、

そうです。左後肢の殿部から飛節にかけて広範囲に腫れあがっているのです。かなり広範囲です(汗)。しかし視診だけでアブセスと決めつけてはいけないので病巣の内容物を吸引し何が隠れているのか確かめてみました。すると正体は期待を裏切らない「The膿」。

これは徹底的に取り除かねばとならぬと思い、アブセス専用診療ツールに加えて愛用しているホームセンターで入手したプレッシャースプレーを準備し、いざ切開へ。

重力に従って膿が排泄されやすいように、なるべくアグセスの底部を切開するように心掛けトライすると吹き出すほどの大量の膿が放出され、しばらく待っていても永遠に膿は出続けていました。切開線を広げるか迷っていましたが「太い血管を切ってしまうことで出血をより促してしまうと嫌だな」と考え、しばらく待ち。ようやく排泄が止まったところでプレッシャースプレーでガンガン中を洗い、アブセスの内部の組織にこびり付いた膿をゴシゴシ落とし、とにかくクリーナ状態をキープすることを考え、ひたすら洗浄を繰り返しました。
翌日以降は抗生剤と消炎剤の注射だけで加療したのですが、3日間ほど注射を行い、その後は様子見。
一か月後、例のアブセスちゃんにご面会したのですが、当時の面影はなくいわゆる「美脚」に生まれ変わってくれました。

今後はどのようなアブセスに出会うか分かりませんが冷静に対応できるように心掛けていきたいと思います。

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