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ゲストのコラム
「舞子ぷらずま☆—プラズマキッチン便り—第5回」

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2010年6月22日

〜 地域の食文化<1> 〜

 もうひと昔前ですが、ファッション誌で「合コンでモテる会話術」みたいな特集を読んだことがあります。大学時代の嫁舞子は、全然ギャルとかじゃなかったのですが、そんな私でも大学生活の花・合コンには参加する機会はあり、
「モテる?(`・ω・´)どれどれ」と興味を惹かれてじっくり読みこんだので、今でもよく内容を覚えているんですね。大半は「聞き上手になれ」だの「お目当ての彼の隣をキープ」だの、ありきたりな内容だったのですが、特に面白く印象に残ったのが見開き2ページを使って組まれた「出身地別☆彼が食いつく話題」という、全国から人が集まる大学の合コンならではの攻略ページ。例えば新潟出身の彼には「雪が降ったら2階から出入りするってホント?」愛媛なら「水道の蛇口からポンジュースが出るんでしょ」(←松山空港に本当にある)などの会話の掴みが、全国47都道府県分載っていました。ちょっと天然ボケっぽいセレクトなのが、かわいいというかあざといというか(笑)。今ならTV番組の「秘密のケンミンSHOW」風の話題ですね。

 さて、実際合コンでの反応はどうだったかというと(若さゆえ素直に実行してみたのです)、なかなか盛り上がりました。なかでも一番は地域の「食」の話題、それも地方の珍しいローカルフードの話題が最適。食文化でも、関東VS関西系(しょうゆ味・だし味、豚肉・牛肉など)は深刻に場の雰囲気が悪くなるのでダメです。鹿児島の南国しろくま、三重のアイスまんじゅうなどのご当地スイーツは和みの話題、山形のひっぱりうどん、埼玉のゼリーフライ、広島のワニ料理など「なにそれ!?」「うそー!?」と一瞬引かれるようなインパクトある珍味は外れなしの盛り上がる話題。モテるのは、ネタにされても怒らず、自虐と笑いをとりまぜ素直に地元愛を表現できる、お笑いのU字工事のような人だった気が。

 お取り寄せなどもそんなにメジャーではなかった当時、話に聞いて想像するだけだった地方のローカルフードたち。今ではお取り寄せだけでなく、イベントや物産展などで出店されることも多く、全国の味が気軽に口にできるようになりました。食べてみて「送料かかっても取り寄せたい!」というものあり、「郷土食としては価値があるかもしれないけど…うーん」というものあり、その個性こそがローカルフードの醍醐味であり、地域の食文化の真髄だと思います。自分が生まれ育った地域の食にはみんな一家言あって、だからこそ外れのない話題として盛り上がる。ローカルフードが全国へ進出するのはとても楽しく嬉しいことなのですが、美味だけでなく個性も大事な要素、洗練を求め万人向けに均されてしまうことは避けてほしいなぁ。勝手なノスタルジーかもしれないですけどね。
(つづく)
               著:黒沢牧場 上芝舞子

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