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ゲストのコラム
「舞子ぷらずま☆—プラズマキッチン便り—第3回」

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2010年6月8日

〜 作って、食べる<2> 〜

 引き続き、「作って、食べる」ことについて。
 家庭菜園で野菜の成長を見ることによって、食への目線や関わり方が変わると実感した嫁舞子。“それなら他の食品も作って食べてみたいよね、でも自作はハードル高そう”と、漠然と思っていたら、世間にはすでにそういったニーズがあったらしく、『あれも、これも、おいしい手作り生活』という本が、ネット書店Amazonの売れ筋ランキングに入っていました。「いつもは買っている市販の食品を、家庭で作ってみよう」というコンセプトのようで、かわいい写真とイラストを多用、ヨーグルトや梅酒などベーシックなものを筆頭に、味噌や厚揚げ、納豆、ラー油、アンチョビ、カレーなど、和洋様々な加工食品のレシピが載っています。時代の変化と食生活の多国籍化を上手に取り入れてお洒落に仕上げているものの、結局は家庭の設備で製造できる食品という縛りがあるので、本質的には梅干しや切干大根など昔ながらの保存食系レシピの延長線上にあるものが多く、年配の方にとっては「なにをいまさら?」な感じかも。でも、「生活のために作る」のではなく、「売っているものを自分で作れるなんて、面白そう」という切り口は、家庭で保存食の手作りを見る機会の少なくなった現代だからこそ新鮮な視点なのかもしれません。

 また、先日見たTV番組では、クッキングトイ、子ども用の調理おもちゃが大きく取り上げられていました。今のクッキングトイはかなり本格的で、キャンディーで綿あめを作るマシーン(もうトイの域を超えてた)や、ハンドルを回すとコンビニで買うようなきれいな海苔巻きを作るトイ、パン、マカロン、グミ、プリンなどを作れるトイなんかもあるようで、夫婦で「おおお!」と見入ってしまいました。

 加工食品の手作り本にしろ、クッキングトイにしろ、共通するのは「作る楽しさ」ではないでしょうか。たぶん、手間をかけた割に微妙な味だったり、材料費のほうが高くついちゃったりすることも少なくないでしょう。手作りは安心安全とか添加物とか、そういう話も…、まぁ横においといていいと思うのです。とにかく純粋に「食べるものを作ってみたらなんか楽しい!」という体験、食生活への興味をそそる門戸が、技術とメディアの発達によって、大人向け、子ども向け、男性向け、面倒くさがり屋さん向けと、多種多様に開かれていることは、現代ならではのかなり良い面だと思うのです。
(つづく)
               著:黒沢牧場 上芝舞子

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