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松本大策のコラム
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2017年7月18日

 みなさんも牛さんの背中を掻いてあげることがあるでしょ?僕も、診察や巡回の時に牛さんの背中を掻いてあげます。まあ、自分の癒やし効果の方が大きいのですが(僕は人との距離感が苦手で、牛さんとの方が気楽なんです)、牛さんもとても喜んでくれます。

 とくに中期以降の牛さんはシラミやダニによる皮膚炎や、サシバエ咬傷(みなさんが蚊にかまれるようなものです)で、「あちこちかゆくてたまらない!」という子が多いのです。「たかがカユミじゃないか」なんて思ってはいけません。よくよく見てみてください。牛さんは全身で数百カ所もサシバエに刺されているのですよ。

 みなさんが、仕事中に数百カ所蚊にかまれたらストレスもたまるどころじゃありませんよね。きぇーっっ、と気が狂いそうになると思います。牛さんだってストレスは同じこと。いや、掻きたいところをかけない分、余計ストレスはたまると思います。その証拠に、かゆいところを掻いてあげたらメッチャ喜んで吠えているビデオを載っけときますね。

牛さんが喜ぶのは、サシバエのカミ痕や背中のかさぶたが出来ているところ、それから角の周りなどの自分では掻けない部分です。

 掻いてあげるだけでなく、カユミの元を絶ってあげた方がよいでしょう。サシバエには、ジェット煙霧機(プルスフォグなど)で、牛舎やその周囲の草むらを駆除するとか、牛舎周辺の草むらを除草してサシバエが休む場所をなくす(サシバエは、吸血してすぐに牛舎周辺の草むらに潜むのです)こと。周囲の田んぼや畑が自分の土地でない場合は、エプリネリックス・トピカル(ゼノアック)を背中にかけると数週間は吸血したサシバエを殺すことが出来ます。シラミやダニは、バイチコール(バイエル)の塗布が効果的です。

 また、牛さんを掻いてあげるときの注意点ですが、金ブラシで掻いてあげる際に出血することがあります。肥育牛は寿命が短く、外的な出血からの感染で白血病が発症することはないのですが、繁殖母牛の場合は、寿命が長く金ブラシを介しての白血病感染が懸念されます。白血病の確認をしていない母牛の場合は、1頭1頭専用のブラシを用意するか(贅沢だなぁ)、1頭に使用した後は洗浄し、消毒するのが賢明だと思います。

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