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松本大策のコラム
添加剤はきちんと自分で確かめよう!

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2017年7月14日

 みなさんの牧場にも、様々な飼料添加剤が用意してあると思います。そして、「動物用」というと、結構な値段がします。僕は、日本各地の農場を巡回しますから、僕の地元では見かけない種類の添加剤なども目にします。
 ただ、中には「本当に効果があるの?」と不安になるものや、効果の割に値段が高すぎるな、というものもあります。売る側も必死でしょうから、あまりおとしめるようなことは書きたくないので、常にみなさん自身が、実際に効果が出ているか?と評価なさることをおすすめします。

 実際に僕が見た事例でも、漢方薬の成分をうたってありますが、高い上に牛さんが食べない。そこで僕自身も口にしてみたところ、1時間以上飯も食いたくない味でした。そこで、その農家さんや周りの方に確かめてもらうべく、薬局で『同じ成分だけど人間用の本物の』お薬(こっちの方が安い!)を買って、味わっていただきました。こちらはほのかに上品な甘さがあって、牛さんもこちらは喜んで食べてくれます。でも僕の巡回観察の結果は、『人間用』も含めて、このたぐいのものは必要な状態ではない、という結論でした。

 他にも、生菌剤を噴霧すると、白癬(真菌性皮膚炎:ガンベ)が治るという触れ込みで、コンサル先が使用しているものがあったので、興味があって試験してみました。それはもうびしょびしょになるくらい噴霧してもらって経過を観察しましたが、1ヶ月半経過しても全くよくなっていない。古い天ぷら油の方が効果があります。シェパードでは、白癬の治療はグリセリンか亜鉛華軟膏に硫黄を混ぜたものを塗布します。

 飼料添加剤は、効能をうたってはいけませんが、口頭で説明する分は証拠も残らないので、いろんな『効果』をうたって売り込む事例もあります。
 みなさん、自分の経営です。しかも、『現在』は、コスト管理をとても厳しくしないといけない時です。その添加剤を使って『いくらリターンがあるのか?』考えながら、自分でしっかり効果は見ていただきたいと思います。もちろん効果のある、『必要な』添加剤を削るのは言語道断ですが。

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