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蓮沼浩のコラム
第476話:何処に注目? その3

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2017年7月6日

 徳川15代将軍の中で小生が一番好きな将軍は、ダントツで5代将軍徳川綱吉です。とにかく世間では「生類憐れみの令」や「貨幣改悪」など悪いイメージが多いですが、調べれば調べるほど世間で言われているほどひどくはなく、ものすごい名君のような気がします。萩原重秀や柳沢吉保など側近もすごいですね。獣医さんだから生き物の命を大事にするところにも影響されているのかな?とにかく武断政治から文治政治へ移行させた功績は大きいと思います。ちなみに4代将軍家綱も好きなので、先日寛永寺にお参りに行ってきました~。


 
 
 獣医さんは病気の牛さんを前にすると、どうしても前回紹介したようにその牛さんの状態をみることにばかり意識が集中してしまいます。まあ、これはある意味致し方ない面もあるのですが、真の意味で治療を成功させるためには、病気の牛さん以外のところに目をむける必要があります。

 まずは水。しっかりときれいな水が飲めるようになっていますか?時々水が飲めないことにより餌を食べない事例があります。また、きれいな水を与えているでしょうか?飲み水に関しては要注意です。

 それから配合飼料。カビが生えていたり、糞尿が混ざっていたり、時間がたって熱をもっていたりしていませんか?飼槽は綺麗になっていますか?飼槽管理は牛飼いの基本中の基本技術になりますよ。

 配合飼料以上に気をつけたいのが粗飼料。これは本当にさまざまな品質のものがあります。また、保管が難しいので雨に濡れてカビが生えていたり、変敗していたりするものが結構あります。この粗飼料の扱いは本当に難しいですが、絶えず意識をもっておきましょう。

 子牛のミルクも要注意ですね。恐ろしく不衛生な管理をしていませんか?早期離乳をするのであれば、細心の注意を払って衛生的なものを作らなくてはいけません。また、乳首の穴の大きさも要注意。生後間もない子牛で異常に肺音が悪い場合は誤嚥している可能性が結構あります。注意が必要です。

 牛床の状態も重要ですね。ハッチの中が糞尿でグシャグシャなんてことはありませんか?赤ちゃんが生活している場所ですよ。絶えず乾燥して、きれいな状態にしてあげたいですよね。

 日当たりはどうでしょうか?直射日光がもろに当たり、とんでもない暑熱ストレスがかかっていませんか?

 思いつくままに書いてみました。実は病気になっている牛さんの背後にはそれこそありとあらゆる要因が潜んでいます。その中でも飼養衛生管理の占める割合は非常に大きいと小生は日々感じています。極論すれば、自家産の牛の場合99%は飼養衛生管理の不備から疾病が発生しているといってもいいくらいです。ちょっとこれは言い過ぎかな?でも、病気の牛さんの背後には多くの問題が潜んでいますので、その点も想像力を働かせてしっかりとみていくことが肝心です。

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