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蓮沼浩のコラム
第475話:何処に注目? その2

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2017年6月29日

 あまりにも世の中の動きが激しいので、いつも思いっきり翻弄されています。この荒波を乗り切るには・・・・やはり歴史の勉強しかない!温故知新であると訳のわからない考えを持ち、益々自分の世界に引きこもっています!
 
 
 病気の牛さんの治療をする時にどんなことに気を付けているのだろうか?前回は稟告を聞くことの重要性についてお話ししました。今回は視診についてお話ししてみます。
 
 稟告により注目して見る場所は違うのですが、まずは呼吸の状態を観察します。とにかく胸の動きを注意して見ます。速さはどのくらいか、苦しそうにしていないか、肩が上下に動いていないか、お腹が凹むような呼吸をしていないか。慣れてくると、見ただけで大体呼吸数もわかりますし、熱発しているかどうかもわかります。鼻の状態も大事ですね。鼻汁が出ていないか、鼻孔がヒクヒクとしていないか、鼻粘膜が赤くないか、鼻息が白くなっていないかもチェックします。

 では口の状態はどうでしょうか。開口呼吸をしている場合は要注意ですね。口を開けて舌出して呼吸している姿を見た瞬間に小生は今後の事を考えて「う~ん」と唸ってしまいます。ヨダレが垂れていないかも重要です。目はどうでしょうか。目ヤニは出ているか、結膜は充血していないか、脱水はしていないか、目に輝きがあるか、目が飛び出していないか、視点が定まっているか、眼振がないか。耳の状態も重要です。耳が下がっていないか、耳の中から汁が出ていないか、頭を振っていないか。耳が下がって膿がでている子牛がいると「う~ん」と唸ってしまいます。

 では次に皮膚の状態はどうでしょう。毛がバサバサになっていないか、色は均一か、換毛はしっかりとできているか、皮膚病はないか、毛艶はあるか、皮膚に張りがあるか。場合によっては挫創が出来ていないか、リンパ節が腫れていないかも確認します。月齢に応じた牛さんの大きさも大事ですね。しっかりと発育しているかチェックしないといけません。また、痩せ具合も重要です。月齢の割に小さく、痩せていて、換毛が悪く、肩を上下に動かして呼吸していたら、これまた「う~ん」と唸ってしまいます。

 便の状態も重要ですね。下痢なのか、血便なのか、正常なのか、どんな色なのか、ちゃんと消化されているのか、粘液が混じっていないかなどを見ます。歩き方も気になります。跛行がないかを見ます。その時に蹄の状態や関節や足が腫れていないかもチェックです。他にも角の状態や、鼻輪の状態、耳標の状態、体のバランス、乳房、包皮、外陰部、立つときのスピード、立ち方。

 他にもいろいろ見るポイントはあると思います。思いつくままに羅列してみましたが、現場では稟告を聞きながらこれらのポイントを素早く把握します。早とちりしてはいけませんが、稟告と視診だけで診断がつく病気も結構ありますよ。

でも、どうしても忙しくなるとこの視診がおろそかになってしまいがちです。稟告を聞いてしっかりと時間をかけて牛さんを観察することはやっぱり基本ですね~。

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