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ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−38 「続 子牛とかあちゃん牛」」

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2010年4月20日

 前回の子牛の母牛への影響ですが、分娩前の1ヶ月では何が起こっているかですが、分娩前のこの時期には、胎児の増体が1番大きくなる時期で、そのために胎児が急速に大きくなるために母牛の内臓は圧迫されてきて、十分に食べることが出来なくなってきます。その結果として乾物摂取量が低下しやすくなりますので問題になるのは、嗜好性の悪い粗飼料などは食べなくなりやすく、濃厚飼料のようなものだけ食べるようになります。そうなるとルーメンのコンディションが悪くなり、飼料効率が低下して栄養状態が悪くなり、子牛への影響だけでなく母牛自身の泌乳や繁殖にも悪影響が出ます。そして子牛を産ませないと経営できませんから、必要な物を必要な時期にやれる工夫をしていくことも大事ではないでしょうか?

 その後に、イリノイ大学の教授のセミナーがあったのですが、胎児の発育と栄養の話題では、妊娠期間中の胎児体重では、
 体重の増加の大半は妊娠末期(3ヶ月)
 筋肉の発達は、最初の3ヶ月間
 栄養要求は妊娠末期3ヶ月間が重要
その中で、胎児期に筋繊維の数が妊娠中期までに決まり(3‐4ヶ月)、出生後のその筋繊維のサイズが決まるということです。筋繊維の数が決まるということは、筋肉への分化する細胞の数が妊娠して3‐4ヶ月期間に決定することだそうです。まだわかりませんが、この時期にストレス(外的要因、内的要因)をかけると筋繊維の数を減らしているかもしれません。

もう少し研究されると思いますが、基本は妊娠してもちゃんと飼ってやることでしょうね!

(著:東京都 村田六蔵)

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