昨年の秋に栄養生理研究会の秋季懇談会があり行ってきました。そこでは、肉牛に関することでしたが、その中で北里大学の大塚先生が「WCS」という話題を提供されました。WCSとは、“Weak Calf Syndrome”の略で虚弱子牛症候群と言っています。 WCSとは、無活力、吸乳欲の減退や起立困難といった虚弱症状を呈する子牛の総称であり、臨床的に明確な原因を特定できない症状の総称です。このWCSでは、下痢や肺炎などを発症することも多いようです。特に黒毛和種子牛では、WCSが散見されて、WCSの黒毛和種子牛で観察されることに子牛の低体重があり、体重と免疫関連の細胞数とは正の相関があるそうです。 すなわち、生時体重が小さい子牛(特徴的には、幅のない薄い子牛)では免疫機能に問題があり、肺炎や下痢などの発生にも何らかの関連が示唆されているようです。妊娠末期の母牛のタンパク不足は出生子牛のWCSリスクになることや出生子牛の免疫細胞の発達が胎児期の栄養状態、つまり母牛の栄養状態に影響をうけていることがわかってきています。そのために、分娩前1ヶ月間の栄養管理が重要であることにつながります。 すでに乳牛では、分娩前20日をクロースアップ期として分娩後の順調な生産を目指した管理プログラムが確立されています。おそらく同じ牛ですから、乳牛ほど栄養供給は必要ないけれども、特に子牛の健康と母牛の順調な繁殖管理に影響を与えることになりますので繁殖農家で重要なポイントになると思います。
(著:東京都 村田六蔵) |