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ゲストのコラム
「和牛1頭仕入れの焼肉南山奮戦記(最終回)」

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2010年3月2日

〜「食農協働レストラン」としての南山の夢〜

 南山は、債権者さんの温情で生き残り、安売りに耐える輸入牛から脱却できずに2次破綻の危機に見まわれ、その結果やむをえず和牛の1頭仕入れに取り組みました。
 そして、この1頭仕入れの技術が産直仕入れへの道を拓き、牛肉の世界の奥深さと畜産農家さんの仕事の大変さを思い知りました。
 生き残った責任、多くの方からご指導ご支援をいただいた恩義、学んだことを伝えていくべき責任、そういうものを背負って、南山は生産者さんといっしょにがんばる「食農協働レストラン」を目指し今日までいろんなことに挑戦してきました。
 南山のお客様とスタッフが一緒に活動する南山食農倶楽部をつくり、生産者さんを招いての交流食事会、産地交流ツアー、田植え、稲刈り、土曜朝市なども開き、マイナーな和牛間交雑種「京たんくろ和牛」のブランド化にも取り組んできました。言い換えれば、農家さんとお客さんとスタッフの相互理解と信頼関係づくりをしてきたといってよいと思います。
 南山は生産者さんの代わりに農畜産物をおいしい料理にしてお客様にお届けするという役割に徹し、農家さんも南山を自分たちの売り場と捉えてより良いものを南山に届けようと頑張ってくださる…。そんな幸せな関係がこれからもたくさん築いていければ最高です。
 さて、このコラムを閉じるにあたり、南山の夢を最後に書き込もうとしたのですが、1ヶ月ほど悩んだ挙句、「生き続けること」という言葉以上のものは思いつきませんでした。南山は、今生きていること自体が夢のようなことだからです。
 「幸せな牛飼い」を目指すシェパードのお仲間同様、南山も「幸せな焼肉屋」を目指して、ゆる〜くがんばっていきたいと思っています。
 長らくのお付き合い、本当にありがとうございました。
 「食べ物となってくれた命」が、たくさんの人を幸せにし、元気な命をつないでいけますように!


焼肉料理屋南山 店主 楠本貞愛 記)

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