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ゲストのコラム
「和牛1頭仕入れの焼肉南山奮戦記(12)」

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2010年2月16日

〜 マイナーな和牛と生産者ブランド 〜

 土佐あか牛は、文句なしにおいしい和牛ですが、土佐和牛としてひとくくりで高知県産の黒毛と一緒にブランド化されていたため、あか牛の個性がしっかりしているようには見えませんでした。
 そこで高知県の畜産振興課の方は、土佐あか牛の生産者さんたちを南山に連れてきて食べ比べをしてもらうという研修を企画され、私は、飲食業者の方々にも声をかけて土佐あか牛との縁つなぎの場となる研修会に盛り立てました。
 短角牛というマイナーな和牛の普及がどれほど大変かを身をもって知っていたので、土佐あか牛も、生産者さんのためだけの研修に費用とエネルギーをかけるより、消費者へ土佐あか牛の存在を訴えることにエネルギーを費やしたほうが…と思ってのおせっかいでした。
 土佐あか牛の研修会の模様は、㈱商業界の月刊飲食店経営という業界誌にも大きく取り上げられ、その後、飲食店とのつながりも広がっていきました。
 土佐あか牛の生産者さんたちには、京都で1泊された後は近江牛の木下牧場を見学していただきました。木下牧場さんへは短角牛の生産者さんたちもお連れしたことがあるのですが、ここの気合に触れて、生産者そのものがブランドとなることを見ていただきたかったのです。
 南山ではいろいろな牛肉の食べ比べ試食会を開催して勉強してきたのですが、何をおいしいと感じるかは、作り手の思いの伝わり方に大きく左右されるということを体験しています。牛肉の値打ち=生産者さんの思いの値打ちという風に捉えて、私たちはお客様への情報発信という味付けをしています。

つづく
焼肉料理屋南山 店主 楠本貞愛 記)

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