〜 さまざまな和牛との出会い 〜
こうして、店内に木下牧場の近江牛と短角牛の子牛登記を掲げて、短角牛をベースに、最高級の近江牛もあるこだわりの和牛専門の焼肉店としてブラッシュアップしていこうとしていたところ、京都で20年来タンクロを生産しておられる日本海牧場の山崎社長が訪ねてこられました。 日本海牧場は、京都の最北端京丹後市網野町にある牧場で、先代さんが「やまち酪農」に挑まれてホルスタインを山に放牧するところから始められ、丈夫な短角牛の放牧にたどり着いたのち、短角に黒毛をかけたタンクロを生産してこられたのです。 タンクロを扱うことにはかなり迷いがありましたが、京都での地産地消ということにも取り組んでみたかったので、一時的なゲスト牛というつもりでタンクロも1頭買いで仕入れてみました。 短角牛と黒毛和牛の両方を扱っている南山にとって、同じ交雑牛でも、ホルス×黒毛のF1を説明するよりタンクロを説明するほうがたやすく、短角と近江牛(黒毛)の中間のタンクロは、南山になじんでいきました。そして試行錯誤の末に、「京たんくろ和牛」と名づけてブランド化する農商工連携につながっていきました。 この3種の和牛があるということで面白かったのが「土佐あか牛」との出会いです。「土佐あか牛」は一体どの程度の赤身のお肉なのか、それを知るには短角・タンクロ・黒毛と一緒に並べて試食するのがわかりやすかったのです。高知県の畜産振興課の方が持ってこられた土佐あか牛を南山で食べ比べてみると、土佐あか牛は赤身のお肉というよりは黒毛に近い霜降りの柔らかい和牛で、大変味のよいお肉でした。
つづく (焼肉料理屋南山 店主 楠本貞愛 記) |