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ゲストのコラム
「和牛1頭仕入れの焼肉南山奮戦記(7)」

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2010年1月12日

〜 食農協働レストランを目指して 〜

 「安全・安心な食肉仕入れと牛肉料理提供方法の調査研究事業」を通して学んだことは、本当に驚くことばかりで、何も知らずに焼肉屋を何十年も営んできたことへの恥ずかしさと、牛肉の生産現場や加工流通の現場が、飲食業者も含めた牛肉の消費者に、いかに知られていないかということでした。
 また、BSEで半死半生になった焼肉業界以上に、肉牛の生産現場が大変なところに来ており、畜産農家がなくなれば、焼肉屋は何を売っていけばよいのか…と、非生産者という立場の脆弱さも思い知りました。
 こうして、「安全安心な食を安定して確保するには、消費者側も生産者から信頼される関係を作らなければならない」と痛感し、南山は生産者さんとの関係を大事にする産直仕入れの道に進んでいきました。
 自ら直売所を持ち、精肉販売の技術もお持ちの椎名牧場さんとの産直取引からはじめ、どんな牛肉を仕入れるのが南山にとって一番よいのか模索し、調査研究事業で出会った近江牛生産者さんとの産直1頭仕入れにも取り組みました。
 初めて近江牛と出会ったのは滋賀県で有名な岡喜牧場さん。700頭ほどの肥育農家さんで、近江牛専門店として精肉販売(小売)と高級料理屋としても大きな商いをしておられました。近江牛の特徴は、長い歴史の中で、このように生産から販売までされている生産者さんが多いことです。
 椎名牧場さんも、岡喜牧場さんも、同じくらいの規模の肥育農家さんで、生産者自らが、お肉の味と質を見て販売し、消費者の反応を生産に反映しておられるという点が魅力でした。

つづく
焼肉料理屋南山 店主 楠本貞愛 記)

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