〜 牛肉の流通をさかのぼって勉強 〜
南山のメニューには、椎名牧場の八千代黒牛という銘柄のF1と、黒毛和牛の両方が並ぶようになりました。 「プロの目利き」が売りの黒毛和牛と、生産者の思いがガンガン伝わってくる八千代黒牛では、売る側も、気持ちの入れ方が違ってきます。味は変わらないのに、価格はリーズナブルな八千代黒牛、しかも生産者さんの心意気がきちんと伝わる「顔の見える産直牛」ということで、八千代黒牛は南山の人気商品になって行きました。 また、椎名さんからも牛肉の生産者側の情報がたくさん入ってくるようになり、南山の牛肉修行は一段と深まっていきました。 もっともっと勉強したいという思いに駆られ、応募したのが中小企業活路開拓調査研究事業です。南山グループの生き残り数店舗は、ばらばらになって独立していたのですが、協同組合組織でつながっていたので、全国中小企業団体中央会の補助事業への申請要件を備えていたのです。この事業のテーマは「安全・安心な食肉仕入れと牛肉料理提供方法の調査研究」。 流通の川下で翻弄される焼肉屋に、牛肉の安全安心を確かめるすべはありません。流通を遡り生産者に辿り着くまでを確かめてこそ安全安心に対して語れるというものです。しかしそのためには大型動物である牛を丸ごと1頭商品化し、部位バランスを保てる買い手にならねば相手にしてもらえません。 いつの間にか、牛肉の卸業者並みの立場になれたことで、「牛肉の調査研究事業」には、そうそうたる専門家たちが加わってくださり、宮崎、千葉、東京、岩手、滋賀、大阪…と、全国を回り、1年をかけて産地と加工場や子牛市場を見て勉強しました。
つづく (焼肉料理屋南山 店主 楠本貞愛 記) |