〜 和牛1頭仕入れを始めたきっかけ 〜
南山は、父が1965年に大分県中津市で創業し、1971年に現在のきたやま南山が4店目の店としてオープンしました。このきたやま南山が大繁盛したことから父は全国に30店ほど店舗展開したのですが、バブル崩壊と共に縮小の一途をたどり、2001年8月に父は引退。私が父の事業の後処理をすることになりましたが、翌9月はBSE。同業他社が右往左往してばたばた倒れていく中、南山の破綻は目立たなくなるというラッキーな事態となりました。他社より1ヶ月早く整理と再建に取り組んでいたので、激震の走る業界の中では、かなり健闘している部類にみなされたとも言えそうです。 九州から岩手まで、とにかくすべての店を数年がかりで売却しての私的整理。最後に残ったのが現きたやま南山です。債権者の温情で、ぎりぎりなんとか事業を継続していけることになり、2004年1月から新たな枠組で再スタート。地元金融機関の援助も再開し、ぼろぼろだった店舗をこの年の夏に改装しました。 築200年の農家を移築した立派な店舗が、何屋かわからないほどに荒れていたのですが、内外装をきれいにすることでお客様に喜んでいただこうと思ったところが、なんと売上が伸びるはずが、9月には前年割れ! 2次破綻の危機に見舞われました。 原因は、米国産の輸入が止まっていたため、安くておいしい輸入肉が入手できず、店舗が立派になった分、牛肉の質の悪さがきわだってしまったからでした。 「おいしい!」と、お客様をうならせるお肉を出さなければだめだと、翌10月から和牛1頭仕入れの修行にスタッフを出して、早速和牛をメニューに取り込みました。
つづく (焼肉料理屋南山 店主 楠本貞愛 記) |