(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第469話:お臍考 その1

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2017年5月11日

 事務所にきたら戸田先生が死んでいました。昨晩夜中にお産がつづいた模様です。20分ほど寝れば復活するでしょう(笑)。ここ数日シェパードではお産が多くて結構ドタバタです。

 最近、お臍のトラブルが結構あるので分娩後はとにかくお臍の状態に注意しています。とにかく大事なことはお臍の構造をしっかりと把握することです。分娩後の正常なお臍は臍の緒が約10cm~20cm。この臍の緒がペタッとしたきし麺みたいな状態になっています。この臍の緒、実は臍静脈といいます。この臍の緒を空けて中をのぞいて見ると、管になっていることがわかります。空洞がお腹の中に向かって広がっているのがわかります。この臍静脈という管が実は肝臓につながっているんですね。だから、この臍の緒、つまり臍静脈が炎症をおこすと肝臓に向かって細菌感染が広がります。このことからも、生まれた子牛は臍の緒をしっかりとしごいて空洞ができないよういしないといけません。きし麺のような臍の緒がピタッとしていることは細菌感染を防ぐためにも重要なことなのです。よくあることで、一番問題になりやすいのが、この臍の緒が根元でちぎれている場合になります。これだと、きし麺がぺったっとへばりついていることで細菌感染を防いでいたのに、そのバリアーがほとんどないことになってしまいます。すぐにお腹につながってしまうので、感染が広がりやすくなるのですね。臍の緒は肝臓につながっていて、根元から切れている場合は感染が広がりやすいということを覚えていてくださいね。

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