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蓮沼浩のコラム
第470話:お臍考 その2

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2017年5月18日

 今日は非常に天気がいいので、往診している時の気分がいいですね。海も山もきれいだし、ドライブ気分です。いつもこんな感じだといいんだけどなあ~。

 非常にまれですが、時々こんな往診依頼があります。「先生、お臍から変な管がでて、血が止まらない!」実際に現場についてお臍の状態を見てみると・・・・。確かに変な管がお臍から出てきています。そして管の先から血がポタポタとでていることもよくあります。

 実はこれ、臍動脈といいます。子牛の内腸骨動脈というところからお臍までとどいています。分娩の時にこの臍動脈、本来は切れてお腹のなかに引っ込みます。伸びていたゴムが切れて縮むようにしてお腹の中に入っていきます。しかし、何かの拍子に産まれてくる時にこの臍動脈がうまく縮まずにお臍から出たまま残ってしまうことがあるのです。このような場合は獣医さんをすぐに呼んで処置してもらってくださいね。出血に関しては臍動脈の内腔が比較的早く閉塞するので、基本的には結紮しないで鉗子でこの臍動脈をはさんでぐるぐるネジまきするようにしてゆっくりと引きちぎっておしまいです。後は抗生剤と止血剤の処置でほとんど大丈夫です。結構もろい血管なので、もしも結紮する場合は力加減に気を付けないと、簡単に引きちぎれてしまいます。この臍動脈を外に出したままにするとお臍のところに後々異常肉芽が形成されてしまうので、最初の処置が肝心です。外に残しておくと、臍帯炎は確実です。

 ちなみに、この臍動脈は2本あります。臍静脈は1本。そしてもう一つ尿膜管というものがあります。子牛のお臍は母牛と臍動脈2本、臍静脈1本、尿膜管1本の合計4本でつながっています。

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