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戸田克樹のコラム
第135話「困ったときのリカバリー Episode ③-治療結果編-」

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2017年5月10日

検査結果にて肝臓が大きなダメージを受けていることが判明しました。
肝臓は他の臓器と異なり、強大な回復力を有しています。
1/4ほど組織が残っていれば、細胞分裂を繰り返し、もとの大きさにまで戻るとさえ言われる臓器です。この回復力に賭けるしかありません。

治療プランも肝臓の機能回復を目的に作成しました。

検査結果が出たその日からブドウ糖液を含む点滴に、ステロイド剤の投与を連日実施しました。
1.点滴で肝臓に流入する血液量を強制的に増やす
2.ブドウ糖液で肝細胞にエネルギーを補填する
3.ステロイド剤で肝臓のダメージ(炎症)を抑える
4.強肝剤(パントテン酸カルシウムなど)の投与で肝代謝をサポートする
という4点が肝臓の回復を目指した今回の治療の中心的な考えです
(ステロイド剤の副作用である免疫抑制作用が心配なので、同時に抗生物質を投与し免疫機能をサポートします)

農家さんと相談し、治療の期間を5日間と設定しました。短期決戦です。治療費もかかるため、あまり日数はかけられませんでした。

連日、点滴を続けていくと、
「餌によってくるようになった。点滴する前より食べるようになったよ」
との声が!肝臓の負担を避けるため、配合飼料は普段の1/3ほどしか与えていませんでしたが、以前はそれでも残っていたのです。でも今はきちんと食べてくれるようになりました。
これは期待できそうです!

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