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2009年10月27日

〜 都会では意外に身近ではない
  「ウマ・ヤギ・ヒツジ」 〜

 金沢動物園ほのぼの広場は、ヤクシマヤギを始めとしたヤギ、ヒツジ(コリデール種)、ポニーを飼育しており、お客様と触れ合うことができます。
 家畜というと、一般的には身近な動物で、「なにも動物園まで行って、ヤギやヒツジやウマなんか見なくていいのでは?」と思われがちなのですが、ほのぼの広場にいらっしゃるお客様のお話を聞いていると、意外にそうでもないのかな?と思うことが多々あります。
 例えば、ヒツジを見て「ヤギさーん!」とか、「ワンワン!」とか言われることがよくあります。また、ポニーを見て「ロバさん!」と言われることもしょっちゅうです。
 担当者としては、いささか複雑な気持ちで、それでも笑顔をつくりつつ「…ポニーですよ。」とお返事することもありますが、そんな環境だからこそ、できるアプローチがたくさんあります。
 例えば「ヤギの角は、付け根と先端とでは、温度が違うよ!」とか、「人間の目とヤギの目は違うところがあるから探してみてね!」と促すと、すぐにヤギに近づいてじっくり観察したり、ヤギが嫌がらないように、そっと触ってみたりするお客様が大勢います。そこから、ウシ科の動物の角の構造や、園内いるシカやサイ等の角の話まで発展させることができたり、草食動物の虹彩の仕組みや目のつき方の話など、動物の生態について説明することができます。家畜への興味関心を通して野生動物の理解を深める、それが、動物園ならではの家畜の見せ方(魅せ方)であると、私は思っています。
 ヤギを前にして、始めは怖い怖いと怯えていた小さなお子様が、柵越しに寄って来たヤギの背中を、ゆっくりと撫で始め、最後には楽しくてその場から離れられなくなる様子を見ていると、「やった!」と心の中でガッツポーズをしてしまう今日この頃です。

(つづく)
著:金沢動物園 飼育展示係 高橋麻耶

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