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ガウルはインド、ネパール、ミャンマー、インドシナ半島の丘陵地帯の森林に生息しています。群居性の動物で、その群れは通常8〜11頭、大きいものでは40頭にいたり、成熟したオスは単独かあるいは独身群で生活します。朝や夕刻に採食し、日中の暑い時間は、森林の隠れ場所などで休息しているといわれています。 成獣のオスは体高2m、体重は1トンほどにもなり、野生ウシの中で最大級です。体色は濃赤褐色から黒褐色(幼獣は淡黄褐色)で、四肢はハイソックスを履いたように先端が白く、額は灰色または黄金色です。成熟したオスは短く黒い光沢のある体毛でおおわれ、首の背部から背の中央にかけて弓なりに大きく盛り上がっています。残念ながら、当園では現在メスのみしか飼育していませんが、どっしりとした体つきからは充分に迫力が伝わってきます。その見事な姿が災いして格好の狩猟対象とされたことや、森林の伐採などによる生息域の破壊が原因で急速に数が減っている希少動物です。 この堂々とした体つきで、一見ちょっと怖そうに見えるガウルも、実は意外と気が小さく神経質な一面を持っていて、驚くとすぐにパニック状態になり走り回ったりします。こちらが目の前にいる状態であれば、柵越しに触ることができるほど落ち着いているのですが、突然の物音や人影に対する反応が非常に大きく、特に狭い獣舎内でパニック状態になると、大きな怪我につながるおそれもあるため、飼育員は彼女たちができるだけ落ち着いた状態を保てるように、いつも非常に気を使っています。 アノアもガウルも名前すら聞いたことがない来園者の方がほとんどで、少しでも多くの方にこの動物たちを知り、関心を持っていただければ嬉しく思います。
(つづく) 著:金沢動物園 飼育展示係 飯野雄治 |