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ゲストのコラム
「こんにちは!こちら金沢動物園です! 〜めずらしい動物たち〜 第2回」

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2009年9月8日

 金沢動物園には肉食動物はいませんが、国内の動物園ではめったに見ることのできない草食動物を数多く飼育しています。展示されている草食動物の多くは、自然環境の悪化や乱獲などにより、生息地では絶滅の危機に瀕しています。
 動物園の大切な役割の1つに「種の保存」があります。このような動物たちを絶滅から救うために、世界中の動物園が協力しあっているのです。その種を繁殖させていくと同時に、絶滅の危機にある動物のこと、私たちの身近にいる動物も含め、あらゆる生き物について、そして環境保全について、興味や関心を持っていただくために、情報発信しています。

 ちょっと難いお話になってしまいました。
 それでは、金沢動物園の面白い動物達をご紹介しましょう。どちらも金沢動物園でしか見ることのできない動物です。

◎シロイワヤギ
 シロイワヤギ(第1回の写真をご参照ください)は北アメリカに位置するロッキー山脈の、標高2000m以上の雪の多い山岳地帯にすんでいる偶蹄目ウシ科の動物です。「ヤギ」という名前がついていますが、日本にもいるカモシカに近い仲間です。急な崖で暮すのに適した足をしています。
 「山の妖精」の別名があるように全身が真白いフサフサした毛で覆われていて、寒さには強いのですが、暑さにはとても弱く、日本の夏の暑さには耐えられません。そこで夏の前に麻酔下で毛刈りをして、クーラーのきいた冷房展示室で過ごします。

◎ベアードバク
 ベアードバク(チュウベイバク)は、中央アメリカの森林や沼などの湿地にすむ、奇蹄目バク科の動物です。皆さんがイメージする白黒ツートンのマレーバクでなく、こげ茶色をしています。
「獏は夢を食べる動物」というお話がありますが、それは中国の伝説に出てくる架空の動物。こちらは木の葉や果実などを食べるれっきとした草食動物です。
 バクはブラッシングが大好きで、当園にいる2頭のバクも、飼育員がブラッシングすると気持ちよさそうに横になります。このように扱いが難しい野生動物を人が管理しやすいよう普段からトレーニングをしておき、健康管理のためにも安全に採血や治療などができるようにしています。(野生動物はペットと同じに扱うことをしてはいけません。)

 さて。次回はウシの代表格を紹介いたします。
 お楽しみに〜!

(つづく)
著:金沢動物園 教育普及担当 高橋麻耶

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