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[マイスクリーム: 子どものころ、将来何になりたかった?] 子どもへの「将来なりたい職業は?」ランキング。最近の小学生の女の子は「お嫁さん」という回答がほとんどないそうです。もちろん、お嫁さんは職業ではないのですが、昔は常にランクインしていましたよねぇ。今は、ペット屋さんや獣医師、トリマーなどが人気だそう。そんな中、今も昔も変わらずランクインしているのがケーキ屋さん。確かにお店はかわいいし、いいニオイがするし、大好きなケーキを毎日食べられるなんてシアワセ…☆ が、しかし。イメージと実際の仕事とのギャップ、仕事は何でもそうだと思いますが、製菓業界は割とこのギャップが大きいんじゃないでしょうか。嫁舞子が作っているのはアイスクリームですが、ケーキとは分野は違えど、基本は体力勝負の力仕事。製菓の現場は時間勝負、しかも家庭とは量が違います。30kgの砂糖や20リットルの牛乳を、大きなボウルと重たい業務用マシンを使って、手早く処理。生モノなので衛生面も厳しい基準があり、お菓子や果物の香りより塩素臭が体に染み付いています。1日が終わるともう本当にボロ雑巾のようにぐったりです。 でも、その先には確かな喜びがあります。自分の手からなるケーキやアイスクリームが、その価格分の価値を認められ、買っていただける。消費者のニーズは年々シビアになり、正直にいい物を作っていればそれだけで売れるわけではない現代ですが、好みや価値観の多様化があるからこそ、我がくろさわ牧場のような小さなアイスクリーム屋さんが、なんとかやっていけているとも言えるでしょう。作るのは重労働、開発は試行錯誤の連続、売るのだって一筋縄じゃいかない、そのうえ予算も施設も限られまくっています。その上にこの不景気が重なって、状況は3歩進んで5歩下がっているような気もしてきます。でも、家族経営の小さな店舗が多い製菓は、「作り手の誇り」と「売り手の工夫」を最大限に引き出せば、大手には出せない良さが必ず現れてくる、アピールしやすく、結果の出やすい業界でもあります。どんな労働も報われれば、それは最終的に苦労とはなりません。「作る喜び」とは「認められる喜び」であり、そこから「誇り」が生まれると、…まだ実感まではいってないけれど、きっとそうだろうと私は信じています。 ちなみに、嫁舞子が幼稚園児のころなりたかったのは「生クリームなめ屋さん」。なにをする人かというと、お菓子作りのときにボウルや泡だて器に残る生クリームをなめてきれいにする人…、生クリームをなめるだけでお金をいただこうと目論んでいたとは、むしろ人生なめてたかも…。
(つづく) 著:黒沢牧場 上芝舞子 |