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戸田克樹のコラム
第129話「安全なお産のために~前か後ろか③~」

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2017年3月23日

「お?とがってるぞ???くぼみもあるぞ!!!」
と来れば、それは後足です。

「むむむ…。一周まわって全部丸みがあるな」
と来れば、それは前足です。

ここまできて、注意していただきたい落とし穴がひとつあります。
それがここ!

解剖学的には「肘頭」と呼ばれる前肢骨(尺骨)の一部になります

やっかいなのはそのとがり具合!

飛節のとがり具合と非常に似ているんですねぇ、これが。
とがっているところだけを触って「とがっているから後ろ足だ!」と決断すると、それが肘頭だった場合に悲惨な結末につながってしまうかもしれません。

とがっているところの向きが「後ろ足からきている場合(飛節)は外陰部側」「前足からきている場合(尺骨頭)は子宮側」にあるので、冷静に考えれば方向の矛盾に気付きます。
でも、過大仔などの難産のときにはときに冷静な判断ができなくなっている場合もあります。

誤った判断をしてしまわないためには

副蹄の次の関節で決める!

ということを覚えておけば大丈夫です。
副蹄をさわり、そこから手をすべらせていって触れた関節が前と後ろの鑑別点です。
そこで「とがっていれば後ろ!丸みがあれば前!」というルールが適用できます。

とがっていてもそれが丸い関節のさらに向こう側にあればそれは肘頭ですから、前足ですよ。
この点に注意しながら、次回のお産では「頭を触る前に前か後ろかを当てる」を目標に分娩のときによく触ってみてください。

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