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戸田克樹のコラム
第128話「安全なお産のために~前か後ろか②~」

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2017年3月14日

そもそもお産のときに「子牛が頭からきているのか、お尻からきているのか」を見極めるポイントは何でしょうか。

頭が触れない!

確かに、お尻からきていれば頭は触れませんよね。

今回も「手を入れたけど頭が触れなかったから逆子かと思った」とのことでした。

しかし、頭が触れないだけで逆子と判断するのは危険です。
例えばこんな姿勢

この場合、外陰部から手を入れると触れるのは前足と首。簡単には頭まで手が届かないこともあるため、「頭に触れないから逆子だ!」と誤ってしまうケースもあるのです。

中身がまったく見えない中で自身の触感だけを頼りに子牛の姿勢を確実に把握しなければいけないとは…。なんて難しいことなのでしょう。

でも、頭が触れなくても前か後ろかを判断できるポイントはきちんとあるんです。

それはここ!!!

牛さんの足の形は前と後ろでは大きく違います。
前足の場合は丸くなっている手根関節、そして後ろ足の場合はとがっている飛節が触れます。関節を一周触って、「丸みしかない!!」となればそれは前足。そして、「なんか尖ってて凹みがあるぞ!!」となればそれは後ろ足、となるわけです。

これでもう前足か後ろ足かの判断は大丈夫です。お疲れさまでした!

ただ、ここには意外な落とし穴が潜んでいて…

つづく。

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