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ゲストのコラム
「厳しい時こそ「カイゼン」のチャンス−9 「出荷子牛の肥育成績を知ろう」」

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2009年6月9日

 市場へ出荷した子牛は、大半が肥育素牛として買われていきます。従って、枝肉重量がとれてA4格付け以上になるような素質の素牛を、購買者は買おうとします。そういう素牛が造れているかは、肥育結果を見なければ判断できません。血統はともかく、粗飼料と配合飼料のバランスがどうだったか、給与したエサの組み立てが間違っていなかったかなど、育成中の飼料給与が正しかったのかは肥育結果で判断しなければいけません。私の理想は繁殖肥育一貫経営ですが、諸事情でそれが出来ない方が多いと思います。それならば、買って頂いた肥育農家さんに、自分の素牛がどういう肥育結果だったかを聞いてみることが必要です。
 肥育農家さんも肥育しやすい素牛を造って欲しいので、繁殖農家さんと情報交換したいと思っている方がたくさんいます。そういう方の所に行って、自分の素牛がどういう肥育牛になっているかを見ることが出来れば一番良いのですが、それが難しい場合は、お願いして肥育結果だけでも教えてもらうようにして下さい。
 枝肉重量が不足していたり、ロース芯が小さい、あるいはハート芯になっていた、筋間脂肪が厚いなどは育成中の飼養管理に問題の場合があります。これらを改善するため、育成中の粗飼料給与量を増やしたり、タンパク質とエネルギーのバランスを見直す、スターターの摂取を早めるなど、繁殖農家さんが取り組まなければいけないことが見えてきます。
 最終的に肥育農家さんが儲けることが出来るような素牛を、繁殖農家さんは供給しなければいけません。そういう素牛の育成方法については、肥育結果からさかのぼって改善することも考えましょう。

(つづく)
著:十勝農業改良普及センター十勝北部支所 出雲将之

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