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秘境の郷の牛飼いだより ~第19回~ |
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2017年3月17日
⑲椎葉の秘蜜 その3
◎冬眠しないミツバチ
大スズメバチ、黄色スズメバチ、アシナガバチ、地バチなどほとんどのハチは冬が来ると女王バチが一匹になり冬眠しますが、ミツバチは冬眠しません。マイナス10度になってもハチの数を最小限に保ち、ハチ球と呼ばれる形にかたまり体を寄せ合って、羽を動かす筋肉をふるわせて熱を出し、巣の中の温度を38度に保っています。
そのために食料となる、蜜や花粉を夏場にせっせと集めているんですね。決して、人間に蜜を分けてやるために集めているんじゃないんです。ミツバチから密を貰う場合は、ミツバチの分も残しておいて下さい。
この寒い時期、ミツバチはとてもイライラしていて、巣箱にさわったり、掃除のために箱を動かそうとすると襲ってきて刺します。注意して下さい。人間でも、寒い時や食料が無く腹が減った時はイライラしますよね、それと同じです。

冬の間は巣箱の中で温度を保ちながら、春を待っています。

春先の巣の中の様子
◎ミツバチの繁殖
春になって日が長くなり、昼間は暖かい日も多くなってきましたが、まだまだ朝晩は寒いですね。人間も牛さんも風邪を引かないように気をつけて下さい。
暖かくなってくると、生き物はみんなソワソワして元気になりますよね。ミツバチたちも密や花粉を求めて活発に行動し始めます。女王バチもどんどん卵を産み、ハチの数は飛躍的に多くなってきます。そうなると、女王バチは前回お話しした真っ黒な雄バチと数匹の女王バチの卵を産みます。
そうして、ハチの数が増えてくると、新しい女王バチが産まれる数日前に古い女王バチは、約半分の働きバチを連れて巣を出て行きます。これがミツバチの繁殖です。
出て行ったハチは近くの大木の幹にハチ球となってぶら下がり、数時間から数日にかけて、次の住み家をどこ(どれ)にするかを決めるために家族会議をしています。先駆けて偵察バチが調査している巣箱のどれに行くかをみんなで話し合っているんですね。
決まるとハチの大群は乱舞しながら新しい巣箱へ向かい吸い込まれるように入っていきます。
入った巣箱の持ち主は大喜びです。この時が日本ミツバチを飼っている人にとって、一番嬉しい時です。(蜂蜜を取った時よりも嬉しいです。)(^o^) この時はハチが通うのをズーッと見ていても飽きません。
今年、私の箱にも沢山入ってくれないかな?

嬉しそうに菜の花の蜜を集めています。冬を過ごしたハチは黒っぽくなっています。それに比べて夏のハチは黄色くなります。

分封してハチ球を作ったところ、どの巣箱に行くか会議中です。これを見つけたら、自分の箱に取り込むことが技術のひとつです。
つづく
宮崎県椎葉村 椎葉 勇
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