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ゲストのコラム
「厳しい時こそ「カイゼン」のチャンス−6 「周産期に注意−お産後の母牛」」

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2009年5月19日

 前回のコラムでは、妊娠後期のことについてお話ししました。今回はお産後の母牛管理について述べさせてもらいます。
 また妻の事例で恐縮ですが、妻の場合子供が離乳するまでは、全て母乳で育ててくれました。妻の遺伝能力を引き継いだせいか、娘も泌乳能力が高く、子供(私の孫)を母乳100パーセントで育て上げたので、私はミルクの入ったほ乳瓶を見ることはありませんでした。
 妻の時はおっぱいがたくさん出るように、妻の母がお餅や白身魚をずいぶん食べさせてくれました。そのせいか離乳食を食べるようになるまで、完全に母乳だけで子供の栄養を満たすことが出来ました。食べる量は普段より多くなりましたが、それでも太ることはなく、おっぱいがたくさん出ている時ほど食欲があったことを覚えています。
 「私と牛を一緒にするな」と妻に怒られそうですが、母乳で育てている母牛も人間と一緒です。ホルスタインほど乳は出ませんが、栄養価の高い母乳を出すためには普段のエサだけで不足するのは当然です。エサが足りない場合は、体脂肪を動員して母乳のエネルギーに変えようとします。
 日本飼養標準ではミルクが6リットル出たときの代謝エネルギー要求量は、7.9メガカロリー必要となります。これはパテ4枚入りのメガマック(754kcal)で10個分、私がごくたまに食べるビッグマック(508kcal)では約16個分のエネルギー量となります。乳生産には、それだけ多くのエネルギーを必要としているのです。
 エサとしてそれを補わないと、体脂肪の動員が始まります。これは松本先生が話されているように、シンナー入りのミルクを作ることになり子牛の下痢につながります。

(つづく)
著:十勝農業改良普及センター十勝北部支所 出雲将之

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