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椎葉絢香のコラム
除角後の化膿…どうしよう⑤

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2017年3月2日

 除角を失敗しないためには…

 まず、①しっかりと止血することです!!頭数が多く一頭一頭止血する時間がないという理由で、除角後、血がビュービュー出る状態でも自然と止まるのを待つ農家さんも中にはいます。当然、部屋の中も飼槽も牛の顔も体も血だらけです。((+_+)) 牛に関わりのない人がこの現場を見たら、殺人が行われたのではないか(゚Д゚;)と絶句すること間違いなしです。(-_-)

 また、近年、増加し続けている“牛白血病”は、ウイルスに感染した血液1mlが体内に入れば、その個体も感染することが分かっているので、このような除角をおこなっていれば、感染するリスクは非常に高いです。除角用のワイヤーを使いまわす場合も、一頭一頭ごとに洗浄・消毒をすることで牛白血病ウイルスの感染を防ぐことができます。(; ・`д・´)

 止血の時に焼烙を行う人がほとんどだと思いますが、②中途半端に焼烙しないこと!!です。角に押し当てる焼きゴテは、綺麗なオレンジ色になるまで充分に熱し、必ず予備の焼きゴテを数本準備するようにしましょう。(*´ω`*)

 ③除角時期は慎重に選びましょう!!私が診療をする農家さんで除角を行っている時期が多いのは、13~15ヶ月齢です。これは肥育農家さんでも繁殖農家さんでもだいたい同じで、特に育成牛は妊娠(+)が分かっているときは、受胎して60日以上であれば除角する農家さんが多いです。除角はストレスが大きいので、肥育牛は導入時の大きなストレス(輸送・環境やエサの変更・同居牛との順位争い…)に抵抗できる体になった頃に除角をすることでストレスを緩和しています。実は、肥育の導入直後に除角を行った農家さんでは、熱がなかなか下がらなかったり、元気がなくなってエサを食べなくなった…ということがよくあります。せっかく発育のいい高い牛を飼ってきても、最初につまずいてしまうと取り戻すのに時間がかかります。………つづく(´▽`*)

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