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ゲストのコラム
「厳しい時こそ「カイゼン」のチャンス−2 「自給粗飼料を確保しよう」」

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2009年4月14日

 海外からの輸入物に頼っていると、穀物や為替の相場変動によって収支が左右されてしまいます。粗飼料などはできるだけ自給することが、今まで以上に重要になってきます。土地が無くて粗飼料が不足する場合は、規格外ニンジンやかぼちゃなど廃棄野菜を活用したり、焼酎粕やおからなど食品副産物を利用しましょう。
 センイ源として稲ワラはこれまでも随分使われてきましたが、飼料用稲の利用を検討する時代に入ってきたと言えます。以前水田として使われていたが、不耕作地となっている水はけが悪いほ場などは飼料用稲の作付けや、電牧を回して放牧地として使うことも良いでしょう(土地の所有者と使う人が納得するためには、助成金など支援策がないと難しいのが現実ですが)。北海道では、育成牛を適正な栄養補給を行いながら放牧飼育する取組も試験的に行われています。
 知り合いの酪農家で、栄養価の高い粗飼料を育成牛に給与し、市場出荷直前3kg/日の配合飼料を給与するだけで、素晴らしい発育の育成牛を生産している人がいます。その牛の肥育成績を追跡調査したところ、BMSが2桁でA5格付けだったそうです。反芻動物の肉牛は粗飼料で飼われることが、牛さんの幸せにつながり、農家さんの懐が潤います。
 本来人間が食料として直接利用できない牧草や稲わらなどを、牛さんに利用してもらうことで、反芻動物の生産を成り立たせてきました。これまでのように、楽だからといって濃厚飼料などの購入飼料に依存することは、社会情勢から言って経営リスクが多いと言えます。

(つづく)
著:十勝農業改良普及センター十勝北部支所 出雲将之

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